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制作費の会計処理
について
決算月が近づくと経営者や経理担当者にとって悩ましいのが税務処理の問題です。
特に中小企業の場合、会計の仕方によっては業績に差異が出てしまうので、ひとつひとつ適切に税務処理していくことがポイントになってきます。
ここ十数年で大きく普及をしたホームページ(WordPressなどのCMS)、サーバーなどのインターネット関連費用は税務上どのように処理をすればいいのでしょうか。
ここ20年くらいのWordPressなどのCMS、ウェブサービスの普及に伴い、企業におけるビジネスの経費内訳は大きく変わりました。ホームページ開設のための制作費用やホスティングサービス(レンタルサーバ)費用、ドメイン維持管理費用インターネットに接続するためのプロバイダー費用、パソコンの購入費用やリース費用などが発生し、法人税の仕訳の仕方も複雑になってきています。
特に大きいのが各経費を年度の損金として取り扱うか、資産として減価償却するのかという点です。ここではホームページの制作費用、特にワードプレスやムーバブルタイプなどのCMS制作費の税務処理についてご説明いたします。
なお当ページは企業会計における一般的な原則を記載したものであり、実際にかかった費用(金額)や年数、税制特例措置などによって変わります。企業としての方針は、顧問税理士と相談の上決定してください。
会社概要や商品・サービス情報などを載せた一般的な企業ホームページはどのように税務処理をすればいいのでしょうか。
これについては国税庁が事例「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」(平成24年4月)を出していますので見てみましょう。
出典:国税庁ホームページ 平成24年4月 「No.5461 ソフトウエアの取得価額と耐用年数」(法令13、耐令別表第三)
ご注意:国税庁サイトのリニューアルにともない、現在の No.5461では上記Q&Aは削除されており、
ソフトウエアの取得価額と耐用年数のみが掲載されています。
ここではページ作成時の内容を参考にいたします。
現URL https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5461.htm
旧URL http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5461_qa.htm
この事例のポイントとしては3つあります。
1つ目は「開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばない」という点です。
わかりにくい部分ではありますが、基本的に企業ホームページとはお知らせ、リリースや商品情報の変更などで情報は日々変わっていくものであり、制作時の原形をとどめないと考えると、これらPRを目的としたホームページ制作費は一時の損金として考え、「広告宣伝費等」で処理するのが妥当であるということです。
つまり会社概要や商品・サービス情報などを載せた一般的な企業ホームページ(プログラムの入っていない静的htmlで作成されたホームページ)は基本的には「広告宣伝費等」でOKということになります。
2つ目は「内容が更新されないまま使用期間が1年を超える場合」です。
これは難しいですね。結果的に公開時から一度もホームページを更新しなかった企業は多いはずです。この場合、使用期間に応じて償却して下さいとあります。とはいっても、更新したか否かがわかるのは1年後なので、その時にはすでに広告宣伝費として処理が終わっているケースもあるはず。その場合どうすればいいのかは顧問税理士に確認した方がいいでしょう。
3つ目は「プログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)」が含まれるホームページについてです。
プログラムが含まれる場合は、制作費のすべてを「広告宣伝費」などの「支出時の損金」としては認めず、相当する部分を「無形減価償却資産(ソフトウェア)」として「5年」で償却することになっています。仮に100万円のホームページ制作費のうち、プログラム作成費用が60万円の場合は、40万円の広告宣伝費、60万円の減価償却に分けることになります。
上記の点を踏まえた上で、ホームページ制作費用の会計処理は具体的にどうすればいいのかというと、下記の3種類が考えられます。
上記の事例で難しいのが「プログラムの作成費用(ソフトウェアの開発費用)」の解釈ではないでしょうか。その場合、一括処理ではなく5年償却となりますので、会計上は大きく変わってしまいます。そもそもプログラムの作成費用とは具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
国税庁のホームページには「プログラムの作成費用」の項目についての具体的に例示はありませんでしたので、それ以外の日本商工会議所が2007年12月に刊行した「商工会議所ニュース」やインターネット上にある全国各地の税理士の見解をまとめてみました。
一般的にプログラムに当たるものとしては
一方、広告宣伝費に該当するものとしては
このように分けられています。PHPなどを使った高度なプログラムやデータベース接続機能があるものということでしょうか。この場合、無形減価償却資産(ソフトウェア)として耐用年数「5年」を適用して償却になるようです。
しかしホームページ制作会社側からみると、この事例では判断に迷う点が多々あります。日進月歩のインターネットの世界で、世の中のプログラムすべて把握し、YES、NOの判断をしていく事は実質、不可能なので当然といえば当然なのですが、「Googleが無償提供してる検索ボックススクリプトを付けたらどうなるのか」「社内で管理するだけのログインパスワード機能を付けたらどうなるのか」「簡易的なお問い合せフォームCGIを流用したショッピング機能CGIはどうなるのか」などいろいろ出てきます。
特に企業ホームページ担当者にとって一番影響がありそうなのがCMS(コンテンツマネジメントシステム)でしょう。WordPress(ワードプレス)やMovable Type(ムーバブルタイプ)などのCMSは、税務処理上、広告宣伝費でいいのか、それともソフトウェアに当たるので5年償却の必要があるのかという点です。
一般的にCMSとは、オープンソースプログラムを契約しているサーバーにインストールして、データベースと連動させるものを指します。ホームページのコンテンツ更新管理を自社で簡単におこなえるということもあって、導入する企業が年々増えており、現在では世の中のWebサイト全体で大きなシェアを占めるまでになっています。くわしくは「CMS企業サイトのメリットデメリット」をご覧下さい。
このようなCMS自体の仕組みを考えると、プログラムかそうではないかといえば、プログラムに当たるでしょう。ですから厳密にいえば無形減価償却資産(ソフトウェア)として減価償却しなければならなくなるはずです。
一方で、企業におけるCMSの使用方法はまだ過渡期にあります。導入している企業も実際の使い方としては、データベースをバリバリ動かすプログラムサイトというより、企業や新製品のPRを頻繁に更新することを目的にしたごくごく一般的な企業ホームページに過ぎないはずです。もしかするとデータベースと連動している事すら知らない企業も多数あるでしょう。実情は国税庁のタックスアンサーの言うところの「企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばない」サイトであることが多いのです。
ですので現在では、ユーザーを対象にしたMYページ機能などがある大がかりなCMS以外は、PR目的の一般的なホームページ扱いで、広告宣伝費として一時損金で処理しているケースが多いように見受けられます。
CMSが普及しだしたのはここ十数年の話です。今後、企業ホームページでの導入シェアが上がっていくに従って、CMSは「会計上の無形減価償却資産(ソフトウェア)」に当たるのかという議論が起こってくるかもしれません。
なお当ページは企業会計における一般的な原則を記載したものであり、実際にかかった費用(金額)や年数、税制特例措置などによって変わります。企業としての方針は、顧問税理士と相談の上決定してください。
ホームページ制作費の会計処理、特にCMSについてご説明をいたしました。
スマートフォン、タブレット端末のめざましい普及によって、ウェブへの対応はビジネスを円滑に進めていく上で欠かせないものになりました。皆さんの企業サイトはスマホの時代にマッチした、見やすく、わかりやすいサイトになっているでしょうか。
コロナ禍以降、外出制限や対面販売、訪問セールスの自粛によって、売上があまり戻らない企業が多くあります。
その一方で、従来よりウェブサイトを積極的に活用して、オンラインでの新規開拓に力を入れていた企業は、さほど売上減の影響を受けなかったという話しもよく聞きます。
これはBotC(一般個人向けのビジネス)だけではなく、BtoB(法人向けビジネス)でも同様です。スマートフォンの保有率が90%を超えている現代では、購入や発注の決裁権を持つ経営者も部長もみんなスマホで情報収集をしています。その時に見やすい、わかりやすいホームページと、いまいちわかりにくいホームページでは、ちょっとお問い合わせをしようにも躊躇してしまうのです。
中小企業は大手と比べて、顧客数が少なく、資本も限られているのが大きな悩みです。大手のようにテレビCMや新聞広告で一気に大量に見込み客を集めることはできません。どうすればいいか。従来の営業活動と並行して、低コストで情報発信が出来る自社のウェブサイトを活用して進めていくことが大切です。
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